JR奈良駅・近鉄奈良駅の周辺には、次のようなメジャーな観光スポットがあります。
- 春日大社
- 東大寺
- 興福寺
- 平城京跡
最近は外国人観光客の増加などの影響なのか、興福寺の中金堂(ちゅうこんどう)など歴史的建造物が次々と復興されております。
どこから巡るか迷うところですあ、まず、最初に行こうと考えたのが春日大社(かすがたいしゃ)です。なぜ春日大社なのかというと、冬のこの時期は午後4時を超えると急激に暗くなってしまうので、観光する時間が夏と比べて非常に短いです。
対策として朝なるべく早く出かけたのですが、神社はお寺や他の施設と比較して早い時間から参拝できる傾向があります。
この春日大社も、朝6時半から参拝可能となっております。ただし、国宝殿など施設は10時までは入館できません。
春日大社の鹿は鹿島神宮と関係しているといいますが、歴史などを簡単に解説し、見どころなどを紹介したいと思います。
春日大社ってどんなところ?
春日大社がどんなところなのか歴史的背景などを簡単に説明したいと思います。
春日大社の主祭神は?
この神社は奈良時代の768年に創建されたものです。称徳天皇(しょうとくてんのう)の勅命で、藤原永手(ふじわらのながて)により創建されました。称徳天皇は孝謙天皇(こうけんてんのう)とも呼ばれ、奈良の大仏を創建した聖武天皇(しょうむてんのう)の娘です。
創建に関わった藤原氏(中臣氏)の守護神である武甕槌命(たけみかづち)、経津主命(ふつぬしのかみ)などが主祭神として祀られております。
この二人の神様は出雲の国譲り神話で、天照大御神(あまてらすおおみかみ)について活躍した軍神です。タケミカヅチはわりと有名で、漫画などでもよく名前が使われたりしますが、フツヌシのほうは、聞いたことがない人が多いかも知れません。
神宮というのは神社の中でも最も格式の高いもですが、アマテラスは伊勢神宮、タケミカヅチが茨木の鹿島神宮、フツヌシは千葉の鹿島神宮に祀られています。
第三殿の天児屋命(あめのこやねのみこと)は、藤原氏と祖と言われている神様です。第四殿の比売神(ひめがみ)は天児屋命の妻ですが、天照大御神という説もあります。
春日大社と鹿の関係は?
春日大社は鹿と関りがありそうな神社ですが、どういった関係なのでしょうか。
創建の際に主祭神である武甕槌命(たけみかづち)が白い鹿に乗ってこの地に来たという伝説があり、鹿を神の使徒としているそうです。
タケミカヅチを祀る神社として有名なのが茨城の鹿島神宮ですが、春日大社をはじめ、奈良にいる鹿たちは元々は鹿島神宮にいたものを連れてきたと言われております。
現在も鹿島神宮には鹿がいますが、野放しにはされておらず、柵の中にいます。参考までに、以前に撮影した鹿島神宮の鹿たちです。
世界遺産登録されている?
春日大社は1998年に古都奈良の文化財のひとつとして、ユネスコの世界遺産に登録されました。
春日大社の東には春日山原始林という伐採などが禁じられていて、人の手があまり入っていない原生的な森があります。春日山原始林で古代より行われている神事もあるといいます。
世界遺産に登録された理由は、春日山原始林が春日大社と一体となって古代の信仰を伝えているという文化的背景が認められたからです。
春日大社の見どころは?
ここからは春日大社の見どころなどについて紹介したいと思います。バス停「春日大社表参道」で降りると、野放しの鹿たちがお出迎えしてくれました。
この周辺にいる鹿は人間慣れしています。以前に日光で野生の鹿の群れに遭遇したときはカメラのシャッターを押すと、びっくりしたのか走って逃げていきましたが、ここでは、全く動揺する様子はありません。
ただ、鹿を甘く見てはいけないようで、所々に鹿の危険さを警告する表示があります。実際に観光客が持っていた紙の資料を、鹿に食べられて騒いでいるのを目撃しました。
危険を回避するためなのか、大きな雄の鹿は角が切られていたりします。
実際に目にしましたが鹿が走るスピードは、びっくりするほど早いです。時速にすると50キロから70キロぐらい出ているそうです。
確かにそのスピードで走ってきて、角で突かれたら大怪我をしてしまうかも知れません。体重も雄の鹿は100キロを超えることもあります。
春日大社に鹿がいる理由については、後ほど主祭神と絡めてご説明したいと思います。
春日大社の表参道
春日大社の表参道は両脇には森林があり、ところどころに鹿がいて、なかなか風情のある道です。本殿までは少し距離はありますが、時間のある方はおすすめなので、ぜひ、表参道から行ってみてください。
表参道の途中にはトイレもあります。
鳥居
表参道をひたすら進んでいくと、春日大社の鳥居が見えてきました。鳥居の手前の立て札には「ご創建1250年」とあります。
鹿の像の手水舎
鳥居を潜ると、手水舎(てみずや)があります。手水舎の水は鹿の像の口から出ております。
国宝殿
この鹿の像を左に行くと国宝殿があって、多数の文化財が展示されております。このすぐ近くまで来るバスもあります。
春日大社本殿行きのバスがJR奈良駅や近鉄奈良駅から出ていますが、本数は30分感覚程度で、それほどありません。春日大社は朝早くから開放されていますが、国宝殿が開くのは10時なので、注意してください。
本殿
鳥居から鹿の像を左に見て、そのまま真っすぐに進んでいくと、南門があります。この南門の先に御本殿があります。
南門をくぐって左手には売店があり、おみくじやお守り、御朱印を購入することができます。春日大社は広いので売店がなかなか見つからない人もいるようですので、とりあえずは本殿の近くと覚えておくとよいと思います。
売店では鹿の人形がおみくじをくわえている「鹿おみくじ」が人気のようで、おみくじを引いたあとは、鹿の人形は持って帰ることができます。
御朱印帳がほしいという方も多いようですが、それはこの売店ではなく、南門と国宝殿の間にある社務所で売っております。
こちらが春日大社の御本殿となります。写真を撮りそこねていたので、ウィキペディアのものを使わせてもらいました。
出典:ウィキペディア
若宮十五社
春日大社の中は意外と広く、小さな神社がいくつもあります。若宮十五社は春日大社の摂社・末社で、その数はなんと15社あります。
摂社というのは主祭神(武甕槌命)と関係の深い神様を祀っている神社、末社は主祭神とは関係が薄い神様を祀っている神社のことをいいます。
若宮十五社の中で摂社は若宮神社と後述する紀伊神社で、あとは末社となります。
朱色の塀に囲まれていてひときわ目立つのが、若宮神社(わかみやじんじゃ)です。
伊勢神宮などは20年に一度、式年遷宮(しきねんせんぐう)が行われることが有名ですが2022年、この神社の式年造替(しきねんぞうたい)が復活しました。皇室から佳子さまが来て、「神さまのお引っ越し」として生中継もされましたね。
式年造替というのは本殿の位置を変えずに建て替えや修繕をすることをいいます。今後は若宮神社も伊勢神宮の式年遷宮と同様、20年に一度の周期で式年造替が行われます。
若宮神社の御祭神は天押雲根命(あめのおしくものみこと)であり、これは春日大社第三殿:天児屋根命と第四殿:比売神の間に生まれた子供です。
一番右奥にあるのが(きいじんじゃ)です。この神社の絵を、外国人の女性が書いていました。よほど気に入ったみたいです。
水谷茶屋
東大寺方面の出口付近に水谷茶屋という建物があるのですが、皆さんその風景が気に入ったらしく、写真を撮っていました。
春日大社へのアクセス方法は?
春日大社へのアクセス方法について簡単に説明します。
春日大社の最寄り駅は近鉄奈良駅となります。そこからの距離は1.5キロ強なので、歩いていくことも可能ですが、バスで行くこともできます。また、JR奈良駅から春日大社までは距離は約3キロで、30分程度で歩いていくこともできます。
今回はバスに乗って「春日大社表参道」で下車しました。このバス停から春日大社の本殿までは歩いて10分程かかりますが、「春日大社本殿」という本殿すぐ近くのバス停もあります。
まとめ
春日大社の見どころや鹿がいる理由などについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
この神社の主祭神は鹿島神宮と同じ、タケミカヅチであり、鹿も鹿島神宮から連れてきたと伝えられておりました。藤原家(中臣家)は元々、鹿島神宮と深い関係があるようで、鹿島には中臣鎌足の出生地と伝えられる場所もあります。
春日大社は表参道側からいくと、バス停から10分ぐらい歩くことになりますが、たくさんの鹿たちが出迎えてくれて、かなりおすすめです。
秋冬の観光は日が沈むのが早いですが、神社のよいところは朝が早いところです。予定が詰まっている方は、最初のコースに神社を入れると、より多くの場所を観光できると思います。
- 最寄り駅は近鉄奈良駅。
- 768年(奈良時代)に創建。
- 武甕槌命、経津主命などが主祭神。
- 古都奈良の文化財のひとつとして世界遺産登録。
- 鹿の人形がおみくじをくわえている「鹿おみくじ」が人気。
- 水谷茶屋が人気のシャッタースポット。
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