奈良の有名観光スポットはどこと聞かれたら、多くの人が真っ先に頭に浮かぶのは東大寺の大仏ではないでしょうか?
それほど日本人にとっては東大寺は有名で、修学旅行などで定番の場所となっております。学生のときに一度は見に行ったことがあるという方が多いと思います。
恐らく、修学旅行では、大仏のある建物「大仏殿」だけを見ただけかもしれませんが、東大寺の敷地はとても広く、歴史的価値のある建物もいろいろとあります。
東大寺の見どころついて、写真を添えてレポートしていきたいと思います。簡単に歴史なども紹介していくので、観光や修学旅行における豆知識として役立ててくれれば幸いです。
東大寺ってどんなところ?
東大寺はどのようなどころなのでしょうか。まずは簡単な歴史について触れておこうと思います。
東大寺を建てたのは誰?
東大寺は聖武天皇(しょうむてんのう)の命によって創建されましたが、開眼供養が行われたのは752年でした。
開眼供養というのは大仏に目を入れて、魂を入れる儀式のことをいいます。大仏建造の責任者として活躍したのが行基という僧ですが、747年に起工され、約5年で完成しました。
東大寺創建の理由ですが、当時は干ばつや地震、天然痘の流行などで困っていた聖武天皇は仏教に縋って国を安定しようと考えました。
平城京の中にいくつか寺院がありますが、東大寺は都の外(外京の右)に作られました。東大寺の近くには興福寺という有名なお寺がありますが、こちらは外京の中にありました。
大仏は再建されたもの?
東大寺の大仏は1180年と1567年に焼損していますが、その都度復興が行われました。
1180年は平清盛(たいらのきよもり)の命を受けた息子の平重衡(たいらのしげひら)によって焼き討ち(南都焼討)され、1567年には戦国武将の三好義継(みよしよしつぐ)や松永久秀(まつながひさひで)らがここで戦(東大寺大仏殿の戦い)をして焼失しました。
東大寺は世界遺産登録されている?
東大寺は1998年に「古都奈良の文化財」のひとつとして、世界遺産登録されました。古都奈良の文化財は他には、興福寺、春日大社、春日山原始林、元興寺、薬師寺、唐招提寺、平城京跡です。
それぞれ魅力的な観光スポットですが、高い知名度、アクセスの良さなどもあって観光者数は東大寺が別格です。
東大寺に関する豆知識!対になる西大寺?
あまり知られていない東大寺の豆知識について語っておきましょう。
知名度は東大寺に及ばないものの、東大寺の対になる寺院として西大寺があります。この寺院は創健者は聖武天皇の娘である孝謙天皇で、創建年は764年です。
東大寺の対になる存在として、当時は興福寺を超える広大な境内でしたが、相次ぐ火災などで建物は消滅し、現在では規模もかなり縮小されています。
東大寺は平城京の外にありましたが、西大寺は左京の中にありました。最寄りの駅は近鉄奈良線「大和西大寺駅」となります。
東大寺の見どころは?
それではさっそく、東大寺の見どころについて紹介していきたいと思います。今回は春日大社から歩いてきて、手向山神社を通って東大寺に入りました。
法華堂
手向山神社を通り抜けると間もなく、東大寺の法華堂(ほっけどう)があります。法華堂は東大寺最古の建物で、733年(奈良時代)に創建されたとされていますが、これには諸説あります。
法華堂の中は残念なことに撮影禁止でしたが、このような感じで観音様を中心に9体の像が設置されていました。
二月堂
法華堂の先にいくと、二月堂(にがつどう)があります。
二月堂は高いところにあるので、二階部分はちょっとした展望台になっております。
遠くには奈良の市街地が見えて、なかなかの長めですが、左のほうに見える建物が四月堂(しがつどう)です。二月堂、四月堂に対し、法華堂を三月堂(さんがつどう)と呼ぶこともあります。
四月堂をアップした写真がこれです。
飯道神社
二月堂の近くに小さな神社がなぜかあります。
お寺の中に神社があるのはちょっと不思議ですが、こちらは飯道神社(はんどうじんじゃ)といい、3月に行われている「お水取り」という行事で、僧侶たちがこの神社をお参りしております。
大湯屋
こちらの大湯屋(おおゆや)は重要文化財となっております。
その名の通り、お風呂のある建物です。奈良時代に建てられてようですが消失してしまい、鎌倉時代に再建されております。
行基堂
こちらの行基堂(ぎょうきどう)は江戸時代に作られたものです。行基というのは奈良時代の僧であり、東大寺の建設に貢献した人です。
俊乗堂
俊乗堂(しゅんじょうどう)は、平安時代の後期にかなり焼失してしまった東大寺の復興で活躍した俊乗房重源をたたえるために、江戸時代に作られました。
俊乗堂の中には国宝の重源上人坐像が安置されております。
鐘楼
鐘楼(しょうろう)は国宝になっております。この鐘楼は鎌倉時代に建てられたものですが、鐘(梵鐘)は東大寺創建時からあったものと言われております。
食事亭「あぜくらや」
観光の見どころというわけではないですが、東大寺の境内には寺院としてはめずらしく、お食事亭があります。
まだお昼前ですが、朝が早かったのでお腹が空きました。東大寺境内にある食事処「あぜくらや」で何か食べる事にしました。
山菜うどんとくず餅のセットを頼みました。くず餅というと古風な感じがしてうれしい気分ですが、実は発祥は江戸時代のようです。
鏡池
さて、奈良の大仏として有名な東大寺の大仏を見に行きたいと思います。途中にあった鏡池は紅葉が鮮やかでした。東大寺の紅葉の見頃は例年ですと、11月下旬~12月上旬となります。
中門
大仏のある大仏殿(金堂)は、この中門の先にあります。この中門は通ることはできず、この左側に大仏殿に行く入り口があります。
大仏殿
こちらが東大寺の最大の見どころである大仏殿です。写真からも人と比較してかなりの大きさであることがわかります。
これは再建したものですが、千年以上前の奈良時代に、これだけの建築技術があったと思うとなんだか複雑です。これでも、創建当時はこの大仏殿の建物はもっと大きかったと言われています。
修学旅行の学生が、たくさん来ていました。
こちらが有名な東大寺の大仏です。
正式な名称は東大寺盧舎那仏像(とうだいじるしゃなぶつぞう)といいます。大きさの目安としては、高さが約14.7メートルあります。
大仏殿の中には創建当時の大仏殿の模型があります。大仏殿の両脇に七重塔が建っていますが、現在は焼失しております。
大仏殿の中には大仏の他にも、いくつかの像が飾ってあるので紹介したいと思います。
大仏の両脇には観音様の像がありますが、どちらも江戸時代に作られ、重要文化財に指定されております。大仏に向かって右隣にある如意輪観音(にょいりんかんのん)です。
如意輪観音は如意輪菩薩ともいわれ、如意宝珠と法輪の力によって,生きとし生けるものを救済するという菩薩です。
大仏に向かって左にある虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)です。人に現世・来世の利益を授けるとされています。
廣目天(こうもくてん)です。仏教の神で広目天と書くこともあり、広目は「尋常でない眼、特殊な力を持った眼」を意味します。元々の呼名であるヴィルーパークシャは「不格好な眼をした者」という意味だそうですが、訳すときに拡大解釈されてしまったようです。
強面で強そうな感じですが、手に持っているのは筆と巻物です。文武両道なのでしょうか。
多聞天(たもんてん)です。如来の道場を守り、法を聞くことが最も多いことから、この名が作られました。別名は毘沙門天(びしゃもんてん)といいますが、こちらの方が有名かも知れませんね。
戦国武将の上杉謙信は自身のことを毘沙門天の化身と称していて、それに相応しい数々の逸話が残されています。
南大門
こちらは東大寺の南大門で、国宝に指定されています。かなり古そうな感じがしますが、奈良時代に作られてその後、大風によって倒壊してしまい、鎌倉時代に再建されたものです。
そのとき復興で活躍したのが重源上人(ちょうげん)という僧なのですが、この南大門が鎌倉時代から残っているのは、特徴として高い耐震性をもっているからだそうです。もちろん、数え切れぬほどの大風や台風にも耐えているということです。
重源上人は大仏殿の復興もしていますが、こちらは戦国時代に松永久秀らによって焼失させれたのは先程述べました。
修学旅行などでおすすめの見どころ3選!
東大寺の敷地が広く、見どころがたくさんあることはご理解していただけたと思います。でも中には修学旅行などで時間が限られていて、すべては見れないといった方もいることでしょう。
そんな方のために、おすすめの見どころ3選を紹介したいと思います。
1位:大仏殿・大仏
大仏殿と大仏は東大寺の定番の見どころです。巨大な大仏殿と大仏は一度見たら、心に残ることでしょう。東大寺に来たら、ここは絶対に外せません。
2位:南大門
南大門は鎌倉時代に再建された古い建物で、国宝に指定されております。門の両脇にある金剛力士像も有名なのでぜひご覧になってください。
3位:法華堂
法華堂は東大寺のなかでも最古の建物とされております。大仏殿からは少し離れていて中に入るのは有料ですので、時間と予算に余裕があったら、ぜひ行ってみましょう。
東大寺へのアクセス方法は?
東大寺へのアクセス方法について簡単に説明しておきます。
東大寺の最寄駅は近鉄奈良駅で、そこから徒歩で20分程度です。JR奈良駅からでも歩いていけますが、30分ぐらいかかります。
最寄りのバス停は「大仏殿前駐車場」で、近鉄奈良駅から、ぐるっとバス(大宮通ルート・奈良公園ルート)に乗車すれば、そこに行きます。市内循環バスを利用するとバス停は「東大寺大仏殿・春日大社前」で、そこから徒歩5分ほどです。
春日大社から東大寺へアクセス
今回は、先に春日大社を見てきたので、そこから徒歩でアクセスしたいと思います。春日大社から東大寺までは距離にすると約1キロです。
春日大社を出て東大寺に向かう途中、くつろいでいる鹿の群れと遭遇しました。なんだか、気持ちよさそうですね。
向かって右には芝生で覆われた山があります。
この山は若草山(わかくさやま)といって、標高は342mです。30分から40分程度で山頂まで登ることができるそうです。
手向山神社(手向山八幡宮)が見えてきました。東大寺と隣接していて、ここを通り抜けていくと、東大寺の境内に入ります。
手向山神社が創建されたのは749年で、東大寺の守護神として九州の宇佐八幡宮より勧請(かんじょう)されました。勧請というのは、神仏の分身・分霊を他の地に移して祭ることです。
手向山神社敷地内のこの石畳の道を抜けると東大寺の敷地となります。
まとめ
奈良で屈指の有名観光スポットで修学旅行の定番でもある、東大寺の見どころや簡単な歴史などにについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
東大寺には大仏だけを見に来て、見たらすぐ移動した経験がある人も多いと思いますが、時間があったら、ゆっくりと広い境内を廻ってみるのもよいと思います。
敷地内では、鹿がたくさんいますが、修学旅行で来ていた女子学生が追いかけれて悲鳴を上げていました。鹿は見た目はかわいいですが、体も意外と大きく足も早いので、追いかけれたら、かなり恐ろしいと思います。
100キロを超す鹿に体当たりを食らったら、無事では済まないことでしょう。そういうことなので、鹿の扱いには注意して、挑発などはしないようにしましょう。
- 東大寺の創建は奈良時代の752年。
- 創建者は聖武天皇で、行基という僧が責任者として活躍。
- 大仏は1180年と1567年に焼損したが再建。
- 法華堂は東大寺最古の建物。
- 紅葉の見頃は例年だと11月下旬~12月上旬。
- 創建当時は大仏殿はもっと大きく左右に七重塔があった。
- 鎌倉時代に再建された南大門(国宝)は優れた耐震性を持っている。
- 当時は対の存在だった西大寺はかなり縮小され、知名度も低い。
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