奈良には古代史にまつわる観光スポットがいろいろとありますが、今回は古代史(神話?)のミステリー、神武天皇(じんむてんのう)ゆかりの地を廻ってみました。
神武天皇といえば、歴史の教科書には出てこないので知らない方も多いかも知れませんが、初代の天皇とされる人で、九州から東征して奈良の地に宮を築いたと言われております。
この神武天皇は古事記や日本書紀に登場する人物ですが、127歳まで生きたなど人間離れしていることや神がかったエピソードなどもあり、一般的には史実ではなく伝説上の人物として扱われております。
奈良で神武天皇ゆかりの地とされていて今回巡ってみたのは、次となります。その見どころなどについて紹介したいと思います。
- 神武天皇の宮があったといわれる橿原神宮
- 神武天皇が眠っているとされる神武天皇御陵
橿原神宮ってどんなところ?
まずは簡単に橿原神宮がどんなところなのか、主祭神や歴史などに触れたいと思います。
橿原神宮の主祭神は?
橿原神宮の主祭神は初代天皇とされている神武天皇です。
神武天皇が即位したのは紀元前660年とされておりますが、これには諸説あります。時代の定義は絶えず代わっていますが、紀元前660年といえば、縄文時代にあたります。
神武天皇は常人では考えられない127歳まで生きたと伝えられており、単なる神話上の人物で実在はしていないという意見が主流であり、教科書などには登場しません。
また、古事記や日本書紀において第10代の崇神天皇のエピソードは、いろいろと残されておりますが、それ以前の天皇はエピソードがあまりなく、実在が危ぶまれております。特に第2代から第9代までは欠史八代と言われております。
崇神天皇は「始馭天下之天皇」と言われることもあり、これは初めて建設された国を統治する天皇という意味があります。そのため、神武天皇と崇神天皇が実は同一人物ではないかという説があります。
橿原神宮はいつだれが作った?
橿原神宮はいつだれが建てられたのかはご存知でしょうか。1890年に明治天皇によって、かつては神武天皇の宮・畝傍橿原宮がここにあったと伝えられているこの場所に橿原神宮が創建されました。
神宮ができる前は、この地は畑として使用されていたと言います。設計は建築家の伊東忠太が行いました。
神社と神宮の違いは?
ところで神社と神宮は何が違うのでしょうか。
神社や神宮は全国に10万社ほどあると言われていますが、神宮というのはその中でも格式の高い社で、全国に24社しかありません。神宮では「皇室の祖先や皇族などに関する神や人」が祀られております。
橿原神宮は皇室の祖先中の祖先である神武天皇を祀っているので、当然、神宮ということになるんですね。
ちなみに日本書紀に記されている神宮は伊勢神宮と石上神宮だけとなります。また、平安時代に全国の神社をまとめた本では神宮は、伊勢神宮、鹿島神宮、香取神宮の3社のみとなっております。そのため、この3社を「日本三大神宮」と呼ぶこともあります。
伊勢神宮、鹿島神宮、香取神宮は有名なスポットでご存じの方も多いと思いますが、石上神宮は意外と知らない方もいるかも知れません。石上神宮は奈良県の天理市にある神社で、読み方は「いそのかみじんぐう」といいます。
橿原神宮の見どころは?
それでは、橿原神宮の見どころについて紹介したいと思います。
橿原神宮の表参道
橿原神宮に来て感じたのは、とにかく敷地が広いということです。これは表参道ですが、そのスケールに圧倒されます。
参集所
こちらは橿原神宮の参集所となります。「紀元二千六百七十八年」と表札みたいなものがありますが、これは神武天皇が即位してからの経過した年を表していると思われます。
外拝殿・本殿
参集所を通り抜けると、広い空間になっております。なんでこんなに広いのと疑問に思ってしまいますが、神武天皇の格式を示したかったのでしょうか。
鹿島神宮なんかは、かなり広大な敷地ですが、それに劣らないようにという意図があったのかも知れません。
左奥の方にあるこちらが外拝殿です。この先に本殿があります。
こちらは橿原神宮の本殿です。一般人は、外拝殿からこれ以上近づくことはできません。建物の前に人がいますが、この方は神宮の関係者のようです。
盆栽
境内には、なぜか盆栽が飾られておりました。作者名も記載されております。
深田池
境内には池があります。深田池(ふかだいけ)という名前がついております。
深田池には水鳥がいました。よくわかりませんが、カモでしょうか?
長山稲荷神社
池の近くには複数の鳥居が並んでいます。長山稲荷神社とあります。
鳥居の先には長山稲荷神社があります。この神社は橿原神宮ができる前から、この地にあったそうです。
神武天皇御陵
神武天皇御陵は神武天皇の墓所と言われている場所であり、橿原神宮のとなりにあります。橿原神宮から行く場合、こちらの北参道から出てくると神武天皇御陵に近いです。
北参道を出て左に行くと、まもなく神武天皇御陵と刻まれている石碑があります。
いかにも天皇陵って雰囲気がありますね。この先に御陵があります。
例によって宮内庁の注意書きがあります。
長い砂利道の先にようやく見えてきました。
見た感じは古墳の形はわかりませんが、よくある前方後円墳ではなさそうです。周囲が約100mということなので、古墳としてはそれほど大きい方ではありませんね。
木の鳥居の先は入ることはできませんが、このようになっております。綺麗に整備されていますね。
鳴き声が聞こえると思ったら、いつの間にか鳥が集まってきました。餌でくれると思って歓迎されているのでしょうか。それとも、立ち去れという警告なのでしょうか。
神武天皇御陵の最寄り駅は畝傍御陵前駅(うねびごりょうまええき)です。
橿原神宮前駅とかなり近いので、ここに駅があるのは疑問ですが、そもそも近鉄のこの路線は駅の間隔が短い傾向があります。さすがに利用者が少ないのだろうか、橿原神宮前駅と比較すると整備がされておらず古い感じがしました。
橿原神宮へのアクセス方法は?
橿原神宮(かしはらじんぐう)の最寄り駅は近鉄橿原線の「橿原神宮前駅」となります。
この駅から割と近い巻向駅などの無人駅のイメージがあったので、もしかしたら、しばらく食事はできないと思いましたが、橿原神宮前駅の中には売店や喫茶店もあります。
橿原神宮前駅から歩いて500mほどで、橿原神宮の駐車場などが見えてきます。
橿原神宮へ向かう道の途中で、特産品が好きな家族がいかにも喜びそうなおみやげを見つけたので買っていきました。「埴輪まんじゅう」です。自分は食べていませんが、かなり好評でした。
橿原神宮周辺の見どころは?
橿原神宮周辺の見どころについても紹介しておきたいと思います。
等彌神社
橿原神宮周辺にある神武天皇関連の観光スポットとしては、奈良県桜井市の鳥見山(とみやま)は神武天皇の霊畤(れいじ)と伝えられております。
等彌神社(とみじんじゃ)には、その鳥見山に登るための登山口がありますが、最寄りの駅は近鉄の桜井駅または、隣接しているJRの桜井駅です。
等彌神社の詳細については、次の記事で紹介します。
大神神社・三輪山
大宮神社は三輪山を祀っている古くからある神社で、最寄り駅はJR三輪駅です。
三輪山は古来より神聖な地として讃えられており、登山することもできます。ただし、山中の写真撮影は禁止となっております。三輪山から湧き出る水は御神水とされており、飲むこともできます。
箸墓古墳
箸墓古墳は日本最古の部類に入る大型前方後円墳です。最寄り駅はJR巻向駅ですが、三輪駅からも歩いていくことができます。
魏志倭人伝に登場する卑弥呼の墓ではないかという説がありますが、定かではありません。
鳥見山公園
鳥見山公園は宇陀市にある公園で、最寄り駅は近鉄大阪線の榛原駅となります。
この公園の周辺では縄文時代から弥生時代にかけての遺跡が見つかっており、また桜井市の鳥見山と同様、神武天皇の霊畤と伝えられる場所でもあります。
まとめ
橿原神宮がどんなところなのか、祀っているのはだれなのか、歴史的経緯、そして見どころなどについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
とにかく広大な敷地にびっくりしましたが、神武天皇が存在していたらとすると恐らくは弥生時代の人ということになります。即位したのは紀元前660年が本当なら、縄文時代とも見ることができます。
そのことを考えると、この橿原の地に神武天皇の宮殿がかつてあったとしても、ここまで広い敷地で立派な建物ではなかったと考えられます。この地を立派な象徴として天皇の権威を示そうとする明治天皇の強い意志が感じられます。
- 橿原神宮の最寄り駅は近鉄橿原線「橿原神宮前駅」。
- 主祭神は初代天皇とされている神武天皇。
- 1890年に明治天皇によって創建。
- かつては神武天皇の宮があったと伝えられている場所。
- 橿原神宮のとなりには神武天皇御陵がある。
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