奈良県桜井市にある三輪山(みわやま)は古来より神聖とされている山で、大物主(おおものぬし)という蛇の姿をした神が住んでいると信じられてきました。
日本最古の和歌集である「万葉集」にも三輪山が出てくる歌が数多く存在します。
三輪山の麓には日本でも最古の部類と言われている大神神社(おおみわじんじゃ)があり、また、現在は伊勢神宮に祀られている天照大御神(あまてらすおおみかみ)を最初に宮中の外に祀った場所と言われる檜原神社(ひばらじんじゃ)もあります。
今回は三輪山に登山したので、その体験についてレポートと思います。神聖とされるこの山で不思議な体験をすることはできるのでしょうか。
三輪山へアクセスするには?
ここで簡単に三輪山へのアクセス方法について説明したいと思います。
三輪山に登山する場合、最寄りの駅は「JR三輪駅」となります。今回はJR奈良駅でJR桜井線(万葉まほろば線)に乗り換えて来ました。
三輪駅からは、まずは大神神社(おおみわじんじゃ)を目指しましたが、歩いて5~10分ぐらいの距離です。こちらは三輪駅を出たところにあった周辺地図となります。
大神神社は三輪山自体を御神体としており、本来神社にあるはずの本殿が存在しません。大神神社の主祭神はもちろん、三輪山に住むと言われる大物主の神です。
日本最古の部類とされる由緒ある神社ですので、三輪山を登山する前にはぜひ、参拝することをおすすめします。
大神神社についての詳細は次の記事で紹介しております。
下記の地図は大神神社の境内案内図ですが、三輪山に登山するためには、左上のほうにある狭井神社(さいじんじゃ)に行く必要があります。
三輪山登山口がある狭井神社
三輪山の登山口がある狭井神社(さいじんじゃ)です。三輪山に登山ためには、この神社で受付をする必要があります。
狭井神社の中にはトイレがあります。三輪山の山中にはトイレがありません。登山して下山する所要時間は通常2,3時間かかるので登山する前には必ずこのトイレで済ませておくようにしましょう。
初めて登山する場合は受付で登山の注意事項などを聞く必要があり少し時間がかかるので、その後にトイレに行くことをおすすめします。
三輪山から御神水が湧き出る?
狭井神社では三輪山から湧き出る御神水を飲むことができます。この井戸は薬井戸といい、この井戸から湧き出る水は古くから、「くすり水」として、病気平癒、身体健康などを祈願して利用されてきました。
早く御神水を飲んでみたい気分ではありますが、今飲んで登山中にトイレに行きたくなったら嫌なので、山を降りてきてから飲みたいと思います。
三輪山登山の受付
三輪山登山の受付の時間は14時までとなってましたが、詳細は次のページを確認してください。年に数日、登れない日もあるので注意が必要です。
また登山中、次のことは禁止されております。
- 火気の使用
- ゴミを捨てること
- カメラ等での撮影
- 水分補給以外での飲食
初めて三輪山に登山する場合、住職の方の説明を聞く必要があります。
住職の方の話によると水分補給は水やお茶ならよいそうですが、それ以外のジュースなどは駄目だそうです。聞いてはいませんが、スポーツドリンクも駄目なのかも知れません。
三輪山は神聖な場所として江戸時代までは神官など限られた人しか登ることはできませんでした。今でもその名残りが残っており、ハイキングなどではなく、あくまで参拝目的で登ることが求められます。
受付を済ませると、三輪山登山の地図をもらうことが出来ます。この地図で山の中腹には三光の滝があって、頂上手前には高宮神社があることを知りました。後ほど説明しますが、頂上は奥津磐座というものがあります。
狭井神社にコインロッカーはある?
三輪山の山中では撮影禁止である以上、カメラを持っていっても意味がなく、邪魔になるだけです。狭井神社の中にはコインロッカーがあって、そこに預けることができます。100円で預けることができます。100円が戻ってくるかどうかは忘れました。
私はトイレの近さには自身があるので、とにかく時間を短縮するためにできるだけ軽量にしようと、ほとんどの荷物をコインロッカーに預けました。水は保険として一応、持っていくことにしましたが、なるべく飲まないようにしたいと思います。
すでに山から降りてきたおじいさんたちが、ロッカーの前のベンチに座って団らんしていました。
「いやあ、がんばったねぇ。」
「もう膝がガタガタだよ。」
「なんか耳がよく聞こえるようになってる。」
耳がよく聞こえるようになるって、これも三輪山のなにか神秘的な力なのでしょうか。気のせいなのかもしれないし、山登りで体を動かしたのが、なにか体にいい効果をもたらしたのかも知れません。
三輪山の登山レポート
さて、ここからは三輪山の登山についてレポートしたいと思います。
三輪山の標高は「467m」で、距離にすると約4キロとなります。平地ならこの距離は1時間もかかりませんが登山なので、少なくても倍ぐらいは時間がかかることは想定しています。受付を済ませて登山を開始したのは、午前「10:38」でした。
登山口には竹の杖が置いてあって、無料で借りることができます。せっかくなので借りていくことにしました。一番長い杖を使いましたが、思ったよりも軽かったです。
お借りした杖を使ってさっそく登り始めました。受付でもらった三輪山の案内図だと、最初は「急坂」とありますが、正直、「この程度か」と思いました。坂を数分程あがると平坦な道が続いて、また急坂に差し掛かります。この辺からは、ほとんど坂道で、かなり急なところもあります。
裸足で登山する白服のおばさん
途中で足場を選びながら慎重に登っている白い服を着たおばさんを追い越しました。なにかの宗教の信者のようで見た感じは、60歳を超えており、もしかしたら70近いかも知れません。
よくみると、そのおばさんは裸足です。その後も裸足で登っている人を何人か見かけましたが、「ご神体である三輪山に靴を履いて登山するのは神様に対して失礼にあたるという」慣例がどうやらあるそうです。
でも、木の枝や小石が普通に落ちている道だし、正直、裸足で歩く慣れていないと無理なのではないかと思います。ネットを調べてみると初めてで、いきなり裸足で登る人もいるそうですが、やはり途中、足裏の痛みで相当苦労しているようです。
裸足のおばさんを見て、「これは大変そうだな。山頂にいつたどり着くんだろうな。」と思いながら、後にしました。
耳に異常でおじいさんたちの会話がよぎる
しばらくして、休むことができる小屋がありましたが、休んでいるうちにトイレに行きたくなったら最悪です。経験上、強めの運動をしているときは、あまりトイレに行きたくはなりません。小屋で休みはとらないで、そのまま進みました。
ゆっくりと登ってトイレに行きたくなったら嫌なので、できる限りのペースで進みました。ひたすら、坂道が続くので途中で息が続かなったりします。そんなときは立ち止まって息を少し整えてから、また進みました。
ちょっと不思議ですが、途中で耳の中に圧力がかかって「ツーン」となったり、その後に耳が通ったりすることが何度かありました。
飛行機に乗ったり、高速エレベーターにのって急激な気圧の変化があると、よくこういった減少がおこりますが、それほど高い山でもないのに、ちょっと不思議です。
登山による激しい運動が影響しているのかも知れませんが今までの登山では、このような経験は記憶にありません。出発前のおじいさんたちの会話が思わず、頭によぎりました。
三輪山登山にかかった時間は?
山頂近くの高宮神社(こうのみやじんじゃ)についたのは午前「11:18」で、登り始めてから40分でした。下山は上りよりも楽なので、もう少し早いと思われます。
高宮神社の近くにベンチがあったので、休んでいたら、どこかで見た白い服のおばさんが神社に向かってきました。そう、途中で追い越した「裸足のおばさん」です。
かなり下の方で追い越したはずなのに、この程度の差しかついていないことに正直驚きでした。私が高宮神社についてから5分程度しかたっていませんでした。
高宮神社から頂上にある奥津磐座(おきついわくら)までは、もうすぐです。
磐座(いわくら)というのは信仰の対象となる岩のことで、奥津磐座には数十個、もしかしたら3桁以上の大きな岩が並んでおります。
奥津磐座は大物主が鎮まる場所のようです。三輪山には他に中津磐座(なかついわくら)、辺津磐座(へついわくら)がありますが、見学できるのは奥津磐座のみとなっております。
下山で足のつま先に痛みが走る
下山を開始したのは午前「11:38」です。頂上付近には約20分ほどいました。
行きは、ひたすら上り坂が続きましたが、帰りはひたすら下り坂です。途中、足のつま先に負担がかかていたようで、次第に激しい痛みを覚えていきます。
靴はウォーキング用のものを使用していましたが、下り坂が続く道には向かないようです。
つま先への負担を防ぐには、つま先への負担がかかりにくいハイカットのトレッキングシューズを履く必要があります。三輪山はそれほど高い山でもないのでウォーキングシューズで十分だと舐めていたのが失敗でした。
三光の滝
トイレの心配もなくなってきたので、途中に休憩小屋に寄ってみました。
小屋の奥には三光の滝があって、そこでは滝に撃たれる修行をすることができます。11月でわりと寒いですし、その日は滝に打たれている人はいませんでした。
小屋の中には、濡れた服を着替えることができるように更衣室も用意されております。小屋で少しだけ休んで、足の痛みに耐えながら再び下山を始めます。
三輪山下山にかかった時間は?
狭井神社についたのは午後「12:19」でした。下り始めてから41分なので、途中に三光の滝で時間を取ったりしましたが、意外にも上りよりも時間がかかってしまったことになります。
普通は上りよりも下りのほうがスピードが出るはずですが、斜面が意外と急なので、思ったほどスピードを出せなかったようです。
今回は途中トイレにいけないというプレッシャーがあったので、かなり急ぐこととなりました。登り始めて下るまでに要した時間は1時間40分程度でしたが、いつも通りのペースなら2時間程度はかかっていたと思います。
そんなことで三輪山登山の所要時間は少なくても2時間程度は見たほうがよいと思います。
三輪山の御神水は持ち帰れる?
三輪山を下ってきてトイレを済ませたら、さっそく、薬井戸の御神水を飲んでみました。御神水を飲むために殺菌処理されたコップが用意されております。
ボルビックやクリスタルガイザーなどのスーパーやコンビニで売っている水とは、味がちょっと違うような感じがしました。
御神水は狭井神社の中にある売店でペットボトルに入れて売っております。おみやげで買っていこうと考えましたが受付の方がいうには、
「真空処理をしているわけではないので、日持ちはしない。」
ということなので、やめておきました。お値段は普通のミネラルウォーターとあまり変わらないので、山登りの際に水を持参していない方などは、ペットボトル入りの御神水を購入して、持っていくとよいと思います。
三輪のにゅうめん
お昼は大神神社の近くの店で「にゅうめん」を食べました。にゅうめんが何かわからなかったので店の人に聞いてみたところ、温かい素麺(そうめん)をにゅうめんと言うそうです。
三輪は素麺発祥の地と言われていて、この辺りには素麺を売っている店がたくさんあります。
まとめ
奈良県桜井市にある三輪山の登山についてレポートしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
古来より大物主という神が住むとされた三輪山は神聖とされる場所なので、写真撮影をすることができないのですが、三光の滝、高宮神社、奥津磐座など山中の様子を画像を掲載することができないのがとても残念です。
まあ、そのへんは興味がある方はぜひご自身の目で確かめていただきたいと思います。そのときは、三輪山から湧き出て「くすり水」とも言われる御神水をぜひ飲んでください。
それと三輪山登山は普通の運動靴やウォーキングシューズでも可能ではありますが、筆者のように下りで足の先を痛めてしまう可能性があります。なるべくはトレッキングシューズなどのハイカットの靴を履くことをおすすめします。
- 古来より神聖とされていて大物主という神が住んでいるとされる。
- 最寄りの駅は JR桜井線の三輪駅。
- 三輪山に登るには登山口がある狭井神社で受付が必要。
- 狭井神社では三輪山から湧き出る御神水が飲める。
- 狭井神社にはコインロッカー設置されている。
- 三輪山の山中にはトイレはなし。
- 大物主が鎮まると言われる場所は頂上の奥津磐座。
- 登山の所要時間は2時間程度。
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