カチカチ山の昔話はご存知でしょうか。この物語では狸が泥舟に乗って沈んでしまいますが、今でもよく衰退している組織などに入ることを「泥舟に乗る」などと言われることがありますね。
カチカチ山の原作はもちろん作り話ですが、そのモデルとなった場所が山梨に存在することはご存知でしょうか。
この昔ばなしがいつどこで誰が作ったのかについて探っていき、その舞台となっている山の見どころなどつについて解説していきたいと思います。
カチカチ山ってどんな話?
カチカチ山の物語は、だれがいつ頃作成したのでしょうか。その辺りについて解説します。
カチカチ山のあらすじ
日本人ならほとんどの人が知っていると思いますが、カチカチ山がどんな話なのか、そのあらすじを解説しておきます。本来の原作は残虐的な部分もあるので、現在ではかなりゆるくアレンジされております。
お爺さんは畑を荒らす狸を捕まえて、お婆さんに狸汁にしてくれと頼んで、畑に戻りました。狸は命乞いをしますが、お婆さんはそれを受け入れて縄を解きます。しかし、自由になった狸はお婆さんを撲殺してしまいました。
お婆さんの死を知ったお爺さんは、兎に敵討ちの相談をしました。兎は復習のため、金儲けと言って狸を柴刈りに誘います。柴刈りというのは小さな雑木や枝を野山から採集する事をいいます。
柴刈りの帰り、兎は柴を背負った狸の後ろから火をつけます。柴に火が付いて狸は背中を火傷しました。その様子を見た兎はよく効く薬だと言って、唐辛子入りの味噌を狸の背中に塗ります。狸は激痛が走り、苦しみます。
兎は食い意地の張る狸を、今度は漁に誘い出します。兎は木の船とそれよりも大きい泥の舟を用意しました。欲張りな狸は魚をよりたくさん乗せられる泥舟を選び、漁に出ます。しかし、船が沈んで狸は溺れ死んでしまいます。
カチカチ山の名前の由来は?
兎は狸の背負った柴に火をつける時、火打ち石を使用します。このときカチカチという音が鳴って狸は警戒しますが、兎は「ここはカチカチ山といってカチカチ鳥が鳴いている」と誤魔化します。
この兎のセリフが、カチカチ山の名前の由来となっております。
カチカチ山の作者は誰?
カチカチ山の作者は誰なのかわかっておりません。太宰治が書いた御伽草子の中にカチカチ山が登場しますが、これは元々会った昔話を太宰が新解釈したものです。
原作はとにかく狸が悪いので相応の罰を与えられたという話ですが、御伽草子版は狸への同情が感じられます。さらに兎のやっていることは武士道に反していると描かれております。
確かに死ぬ間際まで狸は兎をとても信じており、兎のしたことは「騙し討ち」というやつです。太宰治にしてみれば、兎は「お婆さんを殺したお前を許さない。」と宣言して、正々堂々と戦って敵討ちを果たすべきだということなのでしょう。
しかしその場合、狸も反撃してくると思われるので、兎は敵討ちどころか返り討ちになってしまう可能性もありますね。
カチカチ山はどこで起こった話?
原作のカチカチ山は、いつどこで起こったのかも不明です。どの辺りの地方で生まれた話なのかもわらなず、モデルとなった舞台も存在しないのかも知れません。
一方、太宰治版のカチカチ山は山梨にある天上山が舞台となっていると言われております。最後は狸は泥舟に乗って沈みますが、その場所が天上山に隣接する河口湖とされております。
天上山がカチカチ山に関係する観光地として知られているのは、御伽草子版の影響のためです。
カチカチ山はいつの時代の話?
カチカチ山の昔話はいつ頃から日本にあって、どのの時代の話なのでしょうか。
カチカチ山の原作は室町時代の末期にはすでにあったと言われております。つまり、その頃あるいはそれよりも前の時代の話ということになります。
この物語には狸汁が登場しますが、日本人はかなり昔から狸汁を食べていたようです。貝塚から狸の骨が出ることがありますが、恐らくは縄文時代から食べていたのでしょう。
狸汁は現代人はほとんど食べないでしょうが、狸の代わりに蒟蒻をちぎって胡麻油で炒り、おからや天かすなどを加えると似たような味になるといいます。そのため蒟蒻の入った汁も「たぬき汁」と呼ばれたりしますが、肉を使わないこの料理は仏僧の精進料理として知られております。
一般人は狸の肉は滅多に食べないでしょうが、現在の日本でも狩猟で取れた狸肉が流通しています。希少なので、お値段はかなり高いです。
カチカチ山(天上山)の見どころは?
カチカチ山こと天上山の見どころについて紹介したいと思います。
富士山パノラマロープウェイ
天上山には徒歩で登山することも出来ますが、一般的な観光客は富士山パノラマロープウェイを使用して登ります。
ロープウェイはこんな感じです。よくみると上にウサギのオブジェが乗っていますが、タヌキバージョンもあるみたいです。
ロープウェイに乗って上までやってきました。パノラマロープウェイという名称だけあって、途中の景色はかなり楽しめます。上まで来ましたが、下には河口湖が見えますね。
うさぎ神社
天上山の上に着くとすぐ近くには、「うさぎ神社」があります。兎の像が並んでいますが、向かって右側のアタ目を伏せているのが「夢見兎」で左の立っているは「富士見兎」です。
富士見兎の見ている先は、天気が良いと富士山が見えるそうです。この日は雲が多く、見れませんでした。
カチカチ山のオブジェ
カチカチ山の物語の場面のオブジェがいくつかあります。こちらは有名なウサギがタヌキの背負っている薪に火をつける場面ですね。
こちらは火傷した狸の背中に唐辛子入りの味噌を塗るシーンです。狸は激痛のあまり、涙を流していますね。
展望台からの景色
駅の近くの展望台から下を見てみると、こんな感じです。
天上山は登ってみると、そんなに高い山ではない感じがするのですが、実は標高は1075メートルあります。河口湖の標高が800メートルを超えているので、標高300メートル程度の山という錯覚をしているだけでした。
絶景ブランコ
2021年11月から展望台のさらに上に、絶景ブランコができました。富士山に向かって漕ぐことになりますが、高所恐怖症の方には厳しいかも知れません。
天上山の頂上(小御嶽神社)
ロープウェイの駅は実は天上山の山頂ではありません。山頂はロープウェイの駅から、数分歩いたところにあります。
駅から三ツ峠方面に向かいますが、三ツ峠まで行くには、数時間がかかるので今回はパスです。この先にある分枝で間違えて三ツ峠のほうに行ってしまわないように気をつけてください。
ちょっとわかりにくいですが、ここが天上山の山頂のようです。小さな神社がありました。小御嶽神社と書いてあります。
江戸時代(1668年)に、富士山の五合目にある冨士山小御嶽神社より分祀して創建されてそうです。
カチカチ山(天上山)のアクセス方法は?
富士パノラマロープウェイを使って天上山に登る場合、最寄りの駅は富士急行線・河口湖駅となります。そこからロープウェイの駅まで徒歩で15分弱です。
徒歩で登山する場合は、その道程の途中にある天上山護国神社が登山口となっております。
まとめ
カチカチ山の由来やそのモデルとなっている天上山の見どころなどについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
かなり古くからある話のようですがいつどこで作成されたのかわからず、また作者も不明でした。近年になって作家の太宰治が御伽草子の中で新しい解釈の物語にしたことから、作者を太宰治だと勘違いしている方もいるかも知れません。
また太宰治の御伽草子版が天上山が舞台になっていると言われていることから、天上山はカチカチ山をアピールした観光地となっております。
天上山はロープウェイで気軽に上に行くことができ、山の上には子供が喜びそうな施設がいろいろとあります。せひ、ご家族などで楽しんでください。
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